美味しく健康的な「食」文化をつくる。イタリア発祥の「スローフード」

ファーストフードという言葉は馴染みがあるものの、スローフードと言われるとどういう意味なのか悩んでいる人もいるかもしれません。けれども多忙でストレスの多い現代人にとって、スローフードこそ今後取り入れていくべき健やかな食事スタイルとも言われています。それでは一体スローフードとは何なのでしょうか?ここではスローフードの特徴や魅力について紹介します。

スローフードの語源と意味

一般に、ファーストフードとは手早く調理されてすぐに提供される料理の総称です。忙しい現代社会において、各地に便利なファーストフード店ができて賑わっています。しかしながら、手軽さやスピード重視の食事にはさまざまな不安が生じることも事実です。ファーストフードには、材料や調理法、添加物などにおける安全性に関しても、曖昧な部分が多いのです。また栄養面に関しても、重要視されていない傾向があります。

そんな中、北イタリアで食文化雑誌の編集者をしていたカルロ・ペトリーニ氏が、友人たちと健やかな食生活について考える活動を始めます。「アルチ・ゴーラ」という会を作り、手軽さよりも「丁寧でじっくり作られた食事」を大切にしていこうと訴えかけるのです。食材作りと調理に手間暇をかけることで、食生活とその土地の魅力を見直していこうという考え方です。このペトリーニ氏が生み出した言葉が、「スローフード」なのです。スローフードとは、「食材を含め、ゆっくりじっくりと作られた食事」という意味があります。

食のノーベル賞。スローフード・アワード

スローフードという言葉の生みの親であるペトリーニ氏は、その後スローフード協会を作りました。北イタリアを本部とするスローフード協会は、今や世界45カ国に広がり、会員数は約8万人です。日本でも、2004年に「スローフードジャパン」が設立し、食の健康を見直す会員たちが活動しています。スローフードはその意味合いとして、「その土地土地の産物や文化を取り入れていく」ことが基盤にあります。ですので、北イタリア発祥の言葉と言えども、イタリア料理ではなく各国各エリアでのスローフードが存在するわけです。

そして、年に一度、各国にて環境や食に関する活動をしている人にスローフード・アワードという賞が贈られます。これは食のノーベル賞とも呼ばれ、日本では武富勝彦さんが授与されたことでも知られています。武富勝彦さんは日本において、古代米の生産をはじめ葦堆肥を使用した循環型農業に関する研究活動を行っている人です。武富勝彦さんが行っている活動は、まさに丁寧な日本米・農作物作りであり「スローフード」につながるのです。

スローフード協会の活動

スローフード協会では、スローフードに関する出版物の発行や味の教育などさまざまなイベント活動を行っています。イタリアでは若者たちの食生活を見直すきっかけになるように、夏の一週間、有名レストランにて若者が格安で食事できる時期があります。そのほか各国で、食の祭典などが行われ、市民が丁寧でじっくり作られた食事を忘れることのないように努めているのです。

個人個人が意識して心がけたいスローフード

イタリアで生まれたスローフードという考え方は、健康のために非常に重要と言えます。スローフード協会では、「おいしい」「きれい」「正しい」の3項目を大切にしています。環境が綺麗で、生産者への公正な評価をすること、これがスローフードの基本です。忙しい日々だからこそ、まずは1人1人が食生活を見直して、丁寧な食生活を心がけたいものですね。

RICO 編集部

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