栄養価が高く健康増進に役立つ!白米の祖先「古代米」って何?
日本人が当たり前のように食す「米」の中には、一般的な白米の他に「古代米」という種類が存在するのをご存知だろうか。昨今、古代米は白米より栄養価が高く健康増進に役立つとされ、注目を集めている。
ひとくちに古代米といっても、赤米、黒米、緑米など200種類以上に分けられるという。古代米の種類や特徴、それぞれの種類に含まれている栄養素などを見ていこう。
古代米っていったい何?
古代米とは、白米の祖先である米の総称のこと。一般的に、野生稲の特徴を残したものが古代米といわれている。ちなみに白米は、赤米の突然変異で生まれたとのこと。古代米は今から2500年前、白米と一緒に日本に伝播したようだ。
「古代米」とは、私たちの祖先(そせん)が栽培(さいばい)していた、いわば「古代の稲(いね)の品種(ひんしゅ)」が持っていた特色(とくしょく)を色濃(こ)く残(のこ)した稲のことだと考えられます。(引用:http://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0206/03.html)
古代米の特徴として挙げられるのが、害虫や冷害に強いことや白米に比べ栄養素が豊富に含まれている点。明治時代の初めまでは国内でも赤米が栽培されていたが、第二次世界大戦を境に栽培は途絶えていた。
古代米が伝承ルートについては諸説あるが、赤米でノギ(イネ科植物の実の先端に伸びるヒゲ)が出る品種のルーツは長崎県対馬にあるといわれているのだとか。
対馬の南に位置する豆酘地区では、赤米の穀霊を神として祭る「赤米神事」が一年を通じて行われている。
古代米の種類には何がある?
健康増進に効果があるとして、古代米が脚光を浴びるようになったのは30年ほど前から。細かく分けると200種類以上あるといわれているが、代表的なものは赤米、黒米、緑米の3種類だろう。
赤米は玄米が赤褐色で、ビタミンやミネラルが豊富なのが特徴。皮の部分にはタンニン、カテキンが含まれ抗酸化作用も期待できる。
黒米はアントシアニン(ポリフェノールの一種)をはじめ、ビタミンB1、B2、鉄分、カルシウムなどが豊富に含まれている。おはぎの起源とされているのもこれで、昔からお祝いの節に使われていた。
そして、亜鉛やマグネシウム、繊維質を豊富に含んでいるのが緑米。クロロフィル色素を多く含むので、貧血予防に効果があるといわれている。
武富式 古代米のつくり方
では、いったいどのように古代米が作られているのだろうか。佐賀県で葦堆肥を使った古代米をつくる武富勝彦さんの例を紹介する。
米づくりは、土から始まる。冬のうちに熟成した自家製の葦堆肥を土にたっぷりとすき込み、入念な土づくりを行うそう。春がきたら自家採種の種籾を近くの池に持って行き、2〜3日水に浸して発芽を促すという。
自ら引き上げた発芽玄米をパレットに並べ、苗床作りの準備へ。苗床は自宅横の敷地に作り、日々、苗に声をかけながら水をまくのだとか。古代米の田植えはうるち米に比べてやや遅く、例年6月末ごろに行う。
稲作の工程の中で骨が折れる作業が、草取り。無農薬農法のため、田の草取りも手作業で行っている。10月になると穂が実りはじめ、古代米を植えた田は赤や黒の稲穂の波が揺れ始める。
収穫時期は例年11月半ば。古代米は1.5m以上に成長するため、白米より台風で倒されやすい。せっかくの収穫を前になぎ倒されてしまうと、手刈りするしかないという。
古代米を普段の食生活に
名前は聞いたことがあるけれど、今まではあまりその良さや効果がわからなかった古代米。特徴や古代米に含まれる栄養素を調べてみると、私たち現代人が取り入れるべき食材であることがわかる。
食生活を見直すうえで、改めて「米」について考えてみてはいかがだろうか。