味噌醤油は、まさに飲む点滴。米に欠けるアミノ酸を補う発酵食品を取り入れよう。

海外に行くと、ふと味噌汁が飲みたくなったり、醤油の味付けが恋しくなったりしませんか?日本人にとって欠かせない味噌と醤油は、食生活においても重要な役割を果たしています。

最近では塩分の採りすぎは体に悪いと「減塩」の商品も多く出回っていますが、果たして味噌や醤油の発酵食品から塩分を摂ることは悪いことなのでしょうか?今回は味噌と醤油について考えていきます。

飲む点滴と言われる、伝統的な発酵食品

日本人の主食といえば白米です。ご飯を食べても、血糖値の上昇が緩やか。ご飯は腹持ちもよく、パンや麺と比べて噛む回数が多くなるので唾液も多く分泌されます。そして唾液が増えることで、口の中の細菌増加を防いでくれるという効果もあるのです。

このご飯と一緒にいただくのが味噌汁であり、おかずの味付には醤油が使われます。実は味噌と醤油は、飲む点滴と言われるほど体にいい伝統的な発酵食品なのだとか。

どちらも大豆と塩からできており、和食は味噌と醤油から85%の塩分を摂っているといいます。最近は塩分過多が問題になっていますが、むやみに塩分を減らすのではなく、肝心なのはミネラルバランスが整っているかどうか。主食の米に欠ける要素はアミノ酸であり、この不足分を補うのが大豆加工品である味噌と醤油です。

トンネルで熟成させる味噌作り

佐賀県で古代米をつくる武富勝彦氏は、味噌を作る時に、大豆を一晩水につけ5時間かけて蒸し上げるそう。これに減マグネシウム濃度塩と麹を加え、佐賀県唐津市の廃道となったトンネルで熟成させるといいます。

なぜトンネルで熟成させるかというと、味噌に四季を感じさせるのが目的。季節ごとの微妙な空気変化を伝えることで、発酵食品の味噌がいい具合に熟成が進むのだとか。そして農作物と同じように足音や声を聞かせると、味噌の中から微生物が喜ぶそうです。

また醤油作りには、九州産無農薬の丸大豆と小麦を使用。レンコンの粘り気に含まれるムチンという成分に、胃や腸の粘膜を保護して消化吸収を助ける作用があることから、その機能性を伝統発酵調味料に生かせないかと実践。レンコン麦芽糖を加えた蓮醤油と赤米麦芽糖入りの2種類を商品化しました。

ご飯のお供、梅干しでも塩分を採り入れる

そして日の丸弁当など、和食に欠かせない常備菜の梅干し。クエン酸が疲れを軽減させ、殺菌効果が高いのが特徴です。武富氏は梅干しも作っていますが、その塩分は塩分18%と、一般的な梅干し2〜3%と比べて高くなっています。

この濃度にしている理由は、カビが生えたり腐ったりすることなく、しっかりと防腐作用が効く濃度であるから。さらにその果肉を裏ごし練り上げた練り梅干しには、クエン酸とミネラルが凝縮しているそうです。食事の際には塩分を摂取しつつ、ミネラルバランスを意識してみましょう。

あべ まなみ

あべ まなみ

新潟県出身、横浜在住のフリーライター。中学時代にサックスを始め、自身もジャズを演奏することから、20歳のアメリカ留学時に単身でメンフィスとニューオーリンズへ。初めての一人旅で自分の可能性や新しい発見に出会える楽しさに気づき、その後「旅」にハマる。

2017年12月現在、渡航国は24カ国。好きなものはお酒といちご。